イオンチャネルの仕組み: yukiの日記

2018年03月29日

イオンチャネルの仕組み

今回の内容は

こちらの本を参考にしています。
最先端の神経科学を学ぶ上で必須の一冊です。

イオンチャネルの構造
・イオンチャネルとは・・・大きな内在性膜タンパク質→チャネルタンパク質という
                ・チャネルタンパク質の細胞外表面には糖鎖が結合している
             中心部に膜貫通ドメインが親水性の孔を形成→チャネル孔という
 (図5-9)
・チャネル孔形成領域は2つ以上のサブユニットからなる
一番左のはヘテロ多量体、二番目のはホモ多量体(A)
三番目のは反復モチーフを含んだ単一のポリペプチド鎖(A)

・一部のチャネルは補助サブユニットを持つ(B)
補助サブユニットは孔の開閉を調節する

チャネルモデルの作成
主要なイオンチャネルの遺伝子配列はすでにわかっている
→これをもとにタンパク質の構造モデルを組み立てできる

アミノ酸→αへリックスやβシートの二次構造を形成する
これらは膜貫通領域によく見られる構造
 電子線解析やX線解析によってαへリックスやβシート、膜貫通ドメインの場所が予測できる。

骨格筋に存在するニコチン性Ach受容体の二次構造、M1~M4はαへリックス、各およそ20残基の疎水性アミノ酸
(図5-10)
各プロットは・チャネルタンパク質の細胞外表面には糖鎖が結合している
疎水性度、その位置のアミノ酸残基前後19残基の疎水性指標の平均


○同一タイプのアミノ酸配列を異なる生物間で比較する
→配列類似性が高いものは構造や機能の維持に重要である。
→同じではないが関連のあるものは生物物理学的な機能を果たす。
例、陽イオン選択性電位依存性チャネル
            ●これは正電荷を持つアミノ酸をαへリックスに沿って2つおきに含む膜貫通領域がある
            これは、電位依存性陽イオンチャネルには見られるが、伝達物質依存性チャネルには見られない
            つまり、電位依存性チャネルの開閉において重要な構造である

チャネルの検証
予想される合成ペプチドに対する抗体を作り、その抗体が細胞膜の内外どちらに結合するか
免疫細胞化学的手法で決定できる。
これによって、チャネルの特定の領域が細胞の外側にあるのか内側にあるのかを調べることができる。


チャネルのアミノ酸一次配列変化がどのような影響をもたらすのか
汎用性の高い手法・・・キメラチャネルの作成

 キメラチャネル・・・異なる生物種の遺伝子に由来する2つの部分からなるチャネル
           同一タイプのチャネルの性質が生物種によって若干異なることを利用した遺伝子工学手法で合成可能

二つの生物でのキメラチャネルを作成し、その性質をもとの2つの生物と比較することで
チャネルの特定領域の機能を評価できる。


アミノ酸残基の役割
部位特異的突然変異誘発によって検証する・・・特定の残基を置換、欠損させる。
自然発生変異を利用するのもアリ

これらの変異が入ると、神経疾患の原因と考えられるチャネル機能異常が生じる。
この多くの場合はチャネルタンパク質の一つのアミノ酸に変異が入っており、
これによってそのアミノ酸のチャネル機能への影響がわかる


イオンチャネルはいくつかのファミリーに分けられる
多細胞生物のイオンチャネルは遺伝子的に多様である
神経細胞や筋細胞のイオンチャネルはスーパーファミリーに属している
 同一のスーパーファミリーに属しているものは構造機能的に類似している
                     (アミノ酸配列、膜貫通領域)

Aリガンド依存性チャネル
  5量体から形成される
  各サブユニットが4つの膜貫通αへリックスを持つ
  細胞外ドメインはリガンドに対する受容部位
  保存された13残基のアミノ酸から成るループを持つ
  その両端にジスルフィド結合を持つため、システインループ型受容体と呼ばれる

Bギャップ結合チャネル
  電気シナプスにおいて二つのシナプス細胞の細胞質を連絡させる
  ギャップ結合は1対のヘミチャネルからなる
  全てのサブユニットは4本の膜貫通αヘリックスを持ち、2つのサブユニットはシナプス間隙で連結する
  各ヘミチャネルは6組ある
  これによってシナプス前細胞とシナプス後細胞の細胞質が連絡される
  
C電位依存性Naチャネル
  相同な4つのドメイン或いはモチーフを含んだ単一のポリペプチドから成る
  各モチーフは6本の膜貫通αヘリックスを持つ
  S5とS6の間はP領域と呼ばれる長いアミノ酸鎖がつないでいる
  P領域が孔を形成する
  P領域は高度に保存されている→チャネルの選択性フィルタとして働く
  

P領域を持つイオンチャネルのファミリー

A電位依存性Kチャネル
  電位依存性Naチャネルの基本モチーフが4つ集まって構成される
  
B内向き整流性Kチャネル
  各サブユニットは膜貫通領域を2個だけ持つ
  その間はP領域で繋がれる
  このチャネルは静止膜電位で開いていて、脱分極の際に急速に閉じる
  
C2つのP領域を持つKチャネルのサブユニット
  Bが二つ反復した構造を持つ
  このチャネルも静止状態でのKコンダクタンスに影響を与えている

Dグルタミン酸依存性チャネルのサブユニット
  電位依存性チャネルとは逆にP領域が出入りしている
  また、細菌は膜貫通領域が2つなのに対して
  高等生物では3つの膜貫通領域を有している


E TRPファミリー
http://www.cellsignallingbiology.org/csb/003/csb003fig3_TRP_channel_family.htm?resolution=HIGH
  TRPファミリーの非選択的陽イオンチャネルはP領域を持つグループを構成している
  TRPチャネルは6つのサブユニットを持つが、通常は細胞質内リガンドによって開閉される
  それぞれのN末端、C末端への結合によってさらに分類されている
  C→4個のアルキンリピートを持つもの
  V→3個のアルキンリピートを持つもの
  M→長いN、C鎖を持ち、酵素活性部位を持つ

TRPチャネルはCa代謝、高等生物の神経系の痛みや温度感覚に重要
その他多様な神経系の働きに関与する

イオンチャネルの多様性
イオンチャネルはイオンチャネル遺伝子の数よりも多様に存在する
様々なサブユニットの組み合わせによって、機能特性の異なるヘテロ多量体を作れる
また、mRNAのスプライシングによってもさらなる多様性が生まれる

(図5−13)
発生ごとにイオンチャネル遺伝子のバリアントが発現する
初期は単一チャネルのコンダクタンスは低く、開口時間は長い
中期になるとバリアントが混在している
コンダクタンスが大きいものと小さいものが混在している
後期になるとコンダクタンスが大きく、開口時間が短い

これらは発生に伴うサブユニットの変化によって起こる現象と言われている

(図5−14)
写真はすべてKチャネルの発現濃度を示している
後部視床核を含む面でスライスしている
mRNAの発現パターンをin situ ハイブリダイゼーション、
CA海馬、DG歯状回
VPL後外側腹側核、VPM後内側腹側核
MD背内側核、LD背外側核、VM腹内側核
PO後核、RT網様体核、ZI不確帯

図に示される様に、脳内の細胞腫、領域ごとにバリアントが存在する

  
Kチャネルの開閉状態
X線結晶構造解析よりイオン選択性チャネルの分子構造が解明された
KcsAのKチャネルから、Kがチャネルによって脂質二重層の通過を促進される機構について
A;KcsのKチャネルの4つのサブユニット
 各サブユニットは中心孔の周りに対照的に設置されている
 青→外側のヘリックス、赤;内側のヘリックス、白;P領域

 2本のヘリックスはP領域によって結合される
 チャネル孔は細胞外側が広く、内側が狭い円錐の形をしている
 

B;チャネルの側面図
  小塔領域とは、チャネル開口部の周囲を取り囲むアミノ酸鎖

C;Kチャネルには5つの結合部位が存在する。
  うち4つは選択性フィルタ(黄)内に存在し、五番目のは中心腔内に存在する
  選択性フィルターの4つの結合部位は各サブユニットあたり5つのアミノ酸残基に由来す流、連続した酸素原子のリングによって形成されている(赤)
  このうち上から4つのリングはグリシン、チロシン、グリシン、バリンに由来するカルボニル酸素である。
  選択性フィルターの五番目の酸素リングはトレオニン由来のヒドロキシ酸素から成る

  この図では2つのサブユニットからの構造が示されている

D;Kイオンがチャネルを通過する様子
  2つのイオンが対になって選択性フィルター内を協調して飛び移る
 初期状態では部位1と3にKが結合している(外側配置)
 そこにKが入ってくると、各イオンは一つずつずれる
 こうして内側配置のイオンとなる 
 内側配置のイオンはそのあと一つずつ飛び移り、外側配置へと戻る
 このように、チャネルには最大でも3つのKしか結合することがない
 これは静電反発力によってKが反発するため、隣接した結合部位を同時に占有することがないことが理由
 


孔の形と構造がイオン透過性を決定する
孔の細胞の内外の開口部には負に荷電した酸性アミノ酸が並んでいて、それらが陽イオンを引き付ける
内側から外側へイオンが通る時、まず18Åの通路を通り、球状の直径10Åの中心腔へ出る
この中心腔には疎水性のアミノ酸鎖が並んでいる
その後、長さ12Åの選択性フィルターを通る
ここがイオン通過の律速段階
細胞質から選択性フィルターまで28Åに渡る
孔の内側は極性に乏しいため、イオンの通過を遅らせることができないので高いイオン透過性が実現できる

Kが膜貫通領域に入るには非常に高いエネルギーが必要となる
これを緩和するための特徴が以下2つ
1、中心腔は水で満たされており、極性の高い環境である
2、孔ヘリックスには負に荷電したC末端が中心腔を向いている


Kチャネルの開口について
MthKという細菌を用いて解明された
(図5−16)
閉状態では、内側ヘリックスによって形成される孔はKが通るには狭すぎる

MthKは細胞質側にCa結合ドメインを持っていて、高濃度のCaによって開状態になれる
開状態では、グリシン残基(赤)の部分で内側ヘリックスが屈曲し、孔を拡張させている
他の細菌や高等生物でも内側ヘリックスは同じ部位にグリシン残基を持つことから、この気候は普遍的に保存されていると考えられる。


イオンチャネルとイオン輸送体
輸送体がイオンチャネルと異なる点
1、電気化学的勾配に逆らってイオンを能動的に輸送する
2、輸送速度が非常に遅い

ClCはClチャネルの大きなファミリー
(図5−17A、B)
これは脊椎動物の骨格筋では静止膜電位の維持に重要
その他細胞にも広く存在する
Clチャネルの喪失は、活動電位に続く後電位の脱分極を引き起こし、活動電位の反復性の発火が起こることで筋収縮の異常な延長を引き起こす

ClC輸送隊は細胞膜外のHの濃度勾配によるエネルギーを利用して、アンチポートによって細胞内のClを電気化学的勾配に逆らって細胞外へ排出する。
ClCチャネルはホモ二量体
各サブユニットは互いに独立した孔を持つ
Aは各孔の開閉状態を示したもの、数字が孔の開状態数

(図5−17C、D)
左が側面図、右が真上から見た図
大腸菌のClC輸送体は複雑な構造を取る
緑の球がClで、各サブユニットがこれに結合している
AとRが細胞質内ヘリックスで、他16本の膜貫通ヘリックスを持つ
赤の部分はClの通路形成を助ける
赤のマイナス印はゲートとして開く可能性がある部分


これを簡略化した図が5−18
Kチャネルでは、孔ヘリックスが平行に配置されている
孔ヘリックスの双極子は負の電荷を持つチャネルが中心を向いてチャネル内部のKを安定化する

Clチャネルでは2本の孔ヘリックスは逆平行に配置されている
孔ヘリックスの双極子は正電荷が中心部を向いてチャネルのClを安定化する

Kチャネルは中心部が最も広い構造を取っているが、Clチャネルの中心部は最も狭い部分になっている
ここは完全脱水した際にClをちょうど保持できる大きさになっている


ClC輸送体とKチャネルが高度なイオン選択性を実現する
1、複数のイオンによって占有されうること。
 高いイオン透過速度と純安定状態が出来る

2、イオン結合部位は部分的に荷電した原子によって形成される
 これによってCゃKが強く結合しすぎないようになっている

3、膜の中心でイオンが安定化される 
 これによって非極性環境におけるエネルギー障壁を下げることができる

4、選択性フィルターの両側に水で満たされた幅の広い前庭があり、部分的に通者したイオンがフィルタに近づきやすくなっている

このように、アミノ酸配列や構造が基本的に異なるチャネルでも高度なイオン選択性と効率的なイオン透過性を実現するために似通った昨日と特徴がある
これらの機構は原核生物から 人に至るまでかなり忠実に保存されている


イオンチャネルと輸送隊の機能的な違い
図5−19
A、イオンチャネルは連続的な通路のようなもの
  この通路はゲートで開閉することができる

B、輸送隊は二つのゲートを持ち、このゲートが同時に開くことはない
 1、細胞外側のゲートが開くと、青イオンが侵入して赤イオンが離れる
   これによって立体構造が変化し、外側のゲートが閉じる

 2、青イオンが閉じ込められたことで再び立体構造変化が起こり、細胞内側のゲートが開く

 3、こうして青イオンがチャネルを離れ、赤イオンが侵入する
   
 4、これによって立体構造が変化し、内側のゲートが閉じて外側のゲートが開くことでこのサイクルが成立する

この輸送過程において、ゲートの開閉にはミリ秒単位で時間がかかるため、イオンチャネルに比べてイオン透過速度が数桁も遅くなる

大腸菌ではこのような輸送隊タンパクとしてClCが存在するが
哺乳類ではそれらのゲートがふさがれており、新たなClを通すための通路としてイオンチャネルが提供されている。

今回の内容は

こちらの本を参考にしています。

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